● 設立趣旨
廃棄物の埋立処分に伴う環境汚染の現状が明らかにされるにつれ、住民の埋立地に対する不信感、
不安感はつのる一方です。このようなことから、廃棄物埋立処分場はなくてはならない社会資本の
一つでありながら、新たな建設が極めて困難な状況にあります。埋立処分技術は十分に確立されている
とは言えず、安全性を科学的に説明するに至っていないことも、ひとつの大きな要因です。
一方、持続性を有する循環型社会の構築が急がれており、廃棄物発生抑制やリサイクルの普及促進
のみならず、廃棄処分されていた物質の再利用や有効利用が望まれています。このような中で、
合理的な最終処分場の設計(貯留構造物、しゃ水工、浸出水集排水施設など)や高度な跡地利用、
廃棄物の土木資材化を実現するために、地盤工学的知見を集積することが必須です。しかし、
廃棄物工学分野での廃棄物地盤についての研究はあまりなされておらず、また地盤工学分野においても、
いまだ関連の研究があまりなされていない状況にあります。
このような境界領域の研究については、両工学分野の研究者や技術者が、社会に認知された安定的な
組織のもとで、協力して研究を進めていくことが必要不可欠です。そこで、土木工学(地盤工学)と
環境工学(廃棄物工学)を専門とする人たちが集い、埋立地の管理方法、安定化の評価診断、適正化
手法、廃棄物の地盤材料としての有効活用、埋立処分における安全・安定な廃棄物地盤の構築、埋立処分
された廃棄物の土木資材化など、廃棄物の地盤工学にまつわる知見の集積、研究と成果の発信を行う
「特定非営利活動法人廃棄物地盤工学研究会」を設立し、広く社会の要請に応えようとするものです。
● 設立に至るまでの経過
平成11年4月、当時の福岡大学工学部花嶋正孝教授のもとに、志を同じくする者たちが集まり、
廃棄物地盤工学研究会を発足しました。平成11年7月に第1回廃棄物地盤工学研究セミナーを開催し、
平成12年11月までに6回のセミナーを開催しました。その後は諸般の事情により、セミナーの開催が
中断されていました。
最近になって、埋立を終了する処分場が増加し、処分場の廃止基準が示された影響もあってか、
当時の参加者をはじめとして、埋立処分事業に関係する方々から引き続きセミナーを開催するなど、
情報発信をしてほしいとの要望が寄せられていました。これに応える責務を感じ、平成15年4月頃から
法人化の検討を開始しました。平成16年1月の設立総会を経て、3月にNPO法人としての申請を行い、
7月28日に承認されました。その後、8月28日に正式にNPO法人廃棄物地盤工学研究会が設立されました。
平成11年4月 | 廃棄物地盤工学研究会を発足 |
平成11年7月 | 第1回廃棄物地盤工学研究セミナーを開催 |
平成12年11月 | 第6回廃棄物地盤工学研究セミナーを開催 |
平成15年4月 | 法人化の検討を開始 |
平成16年1月16日 | 設立総会を開催 |
平成16年3月30日 | 申請書を提出 |
平成16年7月28日 | 承認 |
平成16年8月3日 | 登記完了 |
平成16年8月28日 | 正式に設立 |
平成16年12月11日 | 設立記念懇話会 |